【感想】ななしのアステリズム3
偽り続けるくらいなら、いっそ壊してしまえ
切ない恋のトライアングル。
司の事を諦めようとしない朝倉に対し、昴が朝倉に対してとった行動は──…!? 一方で3人の秘密を知る琴岡は、その抱えた想いが決壊寸前で──…。それぞれが抱える恋心で悩み、葛藤し、想いが純粋なゆえに拗らせていく…。切ない二つのトライアングルで紡がれる、拗らせ系青春物語、はがゆくビターな第3巻!!
*ななしのアステリズム三巻の内容に基づきネタバレを含みます
前回のあらすじ。琴岡ヤバイ。
昴が意味深な顔をして終わったところ。イッタイなにをする気なんだー!?(棒)
というわけで昴の女装から始まる今巻。分かってたとはいえいきなりとばしてくんなァ……
「自分が司を演じて朝倉が司を嫌いになるよう仕向けよう」というわけで、女装姿で朝倉とのデートに挑む昴だったが、これで関係がまた面倒になってきたな?
昴:司を嫌いにさせるため朝倉と付き合う(当然司は知らない)
朝倉:司と友達になれたつもり(当然司は知らない)
司:朝倉と別れたつもり。昴と朝倉が友達であることさえ知らない
一見少女漫画風の展開なんだが、女装シスコンマンの業が深いせいでそんな風に読めない……
昴の過去、彼がいかにしてシスコンになったのかが明かされます。女装癖はシスコン由来だったんですね! 司は悪くねぇ! ……と一概には言い切れないのが悲しいところ。中学に上がる段階で手を打てているので、末期ではないと白鳥ファミリーは思ってるのでしょうが、十二分末期です。
昴と朝倉のデートがうやむやに終わった一方。女子三人組(というか司と琴岡)は中間テストに向けて勉強という流れ。ある日司が教室に戻ると琴岡の姿が。一緒に帰ろーぜ! と自然に出てくるあたり司のイケメン度合いよ。そして満更でもない琴岡(ニヤニヤ)
ふと確信を突かれる悩める女子中学生・琴岡。司への思いだとか三人の関係だとか、司も何気ないフレーズではあるが同時に本心でもあるだろうし、様々な意味が詰まっているシーン。
誤魔化しながらも本心を漏らしてしまったのは天秤の脆さ故か。端的に言って琴岡可愛すぎんだろ。
「やっぱり壊しちゃえばいいんだ 一回全部…」
本音でありたい、というよりは、楽になりたい。悩める女子中学生・琴岡の気心は知れない……
中間試験勉強という題目で奇しくも合流する五人。状況を見るに、
司:朝倉と会うの気まずいんですけどっていうか昴と朝倉がなぜ一緒に?
昴:あかん(あかん)
朝倉:司さん久しぶり(と思い込んでる)
なかなかにカオスな場面が出現。
しかしここで気遣えるのがイケメンのイケメンたる所以である。
エライ!!
朝倉まじイケメンすぎるよぉぉ……男キャラはいらないとか言ってゴメンな?
そんなイケメンコンビ・鷲尾&朝倉の活躍でなんとか場を取り持たせる。ホッと一息と思ったところ、
あざとい。琴岡ぁ! おまえ可愛すぎんだろぉ! ニヤリと意味深な笑いを籠めての提案で、ゲームセンターに向かう一同。昴が息をしてない……。
朝倉が司と付き合う→琴岡は司を諦められる。これで三角関係を終わらせられる。三人が三人でいられて、かつ、琴岡が汚れない上がり。
そんな琴岡の思惑は昴と真逆と言うべきなのだろうが、利己主義という点に関して通じるところがある。
しかし相手はイケメンである。思惑に乗せるどころか逆に想いを改めさせられた琴岡可愛い。略して琴岡わいい。可愛くない……?
いつもの三人。なんやかんやで、って感じだな! 悪気のないフレーズに一々振り回される琴岡さんの気心が知れない。
ゲームセンターの描写がほんと楽しそう。この描写ひとつひとつの情報量こそ「ななしのアステリズム」の魅力だな、とつくづく思わされた。
「近すぎると逆に言えない そういうのってあるだろう? 誰だって」
分かる気がする。リアルでもそういう関係は、ままある。
これこそ本作の主題であるのだろう。
司が主軸にいながら、司以外のキャラクターが縦横無尽に動き回る三巻でした。いや面白いな! 癖が強かったりイケメンだったりでなんやかんや男子キャラも好きになったぞ! そして一人意味深に呟く鷲尾。唯一ブラックボックスな彼女は何を思うのか。待て四巻。
ななしのアステリズム(3) (ガンガンコミックスONLINE)
- 作者: 小林キナ
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2016/06/22
- メディア: コミック
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